Center’s Note

授業レポート「大学生と学習意欲」

2024年2月28日
山本 堅一

 私が担当している全学教育科目の一つに「大学生と学習意欲」という大人数講義科目があります。後期の火曜日1講目に開講しており、2020年度から対面と同時に遠隔で配信する、いわゆるハイフレックス形態を取っています。コロナ禍が明け、大半が対面授業に戻る中、私は対面だけよりもハイフレックス形態にした方が学生の理解度が深まっているという実感があるため、この形態を継続してデータをとり続けています。

ここでは、本授業について簡単に紹介します。

特徴

  • 各回、対面で受講するか遠隔で受講するかの申告は必要なし。遠隔受講者はZOOMログで判断
  • 配付資料はレジュメとスライドのハンドアウト。どちらもMoodleからダウンロード可能。レジュメのみ教室で印刷物を配布(過去分含め)
  • 授業ではたまに受講生同士の話し合いを行う。遠隔受講者は話し合い時のみブレイクアウトルームにてカメラとマイクをオンにする(講義の間、カメラはオフで良い)。

実施方法(2023年度)

遠隔配信の使用機材はパソコン2台(ZOOM操作用と手元用)、カメラ(最初はスマホ、途中からDJI OSMO Pocket3)、三脚、マイク(教室備え付けと、遠隔配信用にワイヤレスマイクDJI Mic)

授業時の使用機材一式(写っていない場所にZOOM操作用PCがあります)

データ

毎年度取っているいくつかのデータをご紹介します。

1.出席に関する割合(%)

※1、※2:受講生毎に対面受講回数と遠隔受講回数を比較し、対面の受講回数が遠隔のそれを上回っている場合は対面主体、逆の場合は遠隔主体としてカウントしています。対面と遠隔同数の学生がいて、合計が100%にならない年もあります。

2.受講形態別の平均出席率(%)
※単位取得者のみを計算

3.成績上下5%に占める各受講形態の割合(%)

4.受講形態別の成績平均点(100点満点)

 ここまでご覧いただいた皆さん、上で紹介したデータを見てどう思われるでしょうか。まだまとめていませんが、今年度は毎授業終了時に簡単なアンケート調査も行いました(対面/遠隔にした理由、授業への集中度)。今年度は、これまでの傾向と比べて明らかな変化が見られます。全て対面、対面主体の受講生がこれまでより10ポイント以上増えています。成績上下5%に占める対面主体/遠隔主体の割合も大きく変わっています。成績の平均点は、受講形態によって差はありますが、遠隔受講だから成績が悪くなるということは決してありません。

 遠隔で受講する学生の理由はさまざまです。次の時間に別の建物で授業があって移動が間に合わないので毎回遠隔で受講する、体調は優れないけど授業は受けられるので今回は遠隔を選ぶ、教室よりも集中できるので遠隔で受講するなどです。対面/遠隔での受講を自ら選択できるという点は、学生から好評です。

 遠隔受講者は真面目に受けているのか?接続だけして他のことをしているのではないか?としばしば聞かれます。私が強調したいのは、それは対面受講者も同じだということです。特に大人数講義だと、わざわざ教室に来て内職や居眠りをする学生がいると思います(私の授業ではいます)。内職や居眠りは、他の受講生の学習意欲にネガティブな影響を与えることがあるので、それならば休むか遠隔でそうしてもらった方が良いです。もちろん、内職や居眠りなどなく、全受講生が学びに没頭できるような授業を目指すべきだと思いますが。

 「それぞれの受講生が学びに没頭できる授業」に、対面か遠隔かは関係ないと思いませんか?ハイフレックス形態を4年やっても、まだ課題はあります。それでも私は来年度も継続する予定です。ハイフレックス授業を続けておられる先生、情報交換しませんか?