「高等教育研修センターと歩んだ10年」
2025年6月16日
副センター長 山本 堅一
現在副センター長を務めている山本堅一です。今回は、私の自己紹介をします。先日「研修センターが開設して10年経ちました」で書いたように、私は北海道大学高等教育研修センター設置時の公募で、特任准教授として着任しています。したがって、ここではこの10年を振り返りながら、自己紹介することにします。
研修センターでの取り組み
専任教員一人で学内外のFDを担当することになった私は、何かと他部署に協力を求めました。担当の事務職員の方々にも随分と頼ったものですし、本当にいろいろと助けてもらいました。当時の上司だった副センター長は、いくつかの決まった研修をやっていれば、あとは好きにやって良いと言ってくれたので、遠慮なくそうさせてもらいました。そこで、研修センターとして初めて学内外に開かれたFD研修を開催したところ、大勢の方が参加してくれたのです。あの日の光景は10年経った今でも思い出せます。北大だとこんなに先生が参加してくれるのかと驚き、嬉しく、その後もさまざまな研修を企画・実施したものです。
私は北大に着任する前に、約1年間、全国のFD研修を集中的に受けた時期があります。年間100時間以上の研修を受講し、良い研修もあまり良くない研修も経験しました。私自身は研修センター着任初年度(2015年度)の9月に初めてワークショップを実施し、その年は3本の研修を企画しています。他にも新任教員研修やTA研修などを実施していますが、最初はそれまでに実施されていた内容をそのまま踏襲しただけです(北大は新任教員研修とTA研修に関しては、歴史があります)。とはいえ、2015年が研修講師としての本格的なスタートの年でした。
その後もたくさんの研修を企画したものです。大切にしていたのは、自分が研修をするだけでなく、他人の研修も受講することです。他者の研修から学べることはたくさんあります。そうして、少しでも良い研修を実施しなければ、時間を作って来てくれた参加者に申し訳がたちません。研修センターでは、外部講師を招いて研修を行うこともありますが、私がその人の研修を受講したことがあって、この人なら大丈夫と思う人にしか基本的に頼んでいません。
FDは日本よりも欧米の方が盛んなため、毎年欧米に視察へ行き、コネクション作りや研修講師捜しも行ってきました。同じFDでも日本とは捉え方が異なる部分もあり、とても参考になりました。コロナ禍が明けて視察を再開したいのですが、円安の影響が甚大で、もう簡単には行けなくなってしまいました(予算は減って、コストは増える一方です)。
私のモットー
大学院生だった頃、私は教育者として頑張ろうと考えていました。そんな中、学部生時代の指導教官から言われことは今でもしっかり肝に銘じています。それは、「一流の教育者になりたいなら、一流の研究者であれ」という言葉です。その先生がまさしくそういう人でした。確かに、大学生はわれわれを研究者としてみますからね。研究も教育もどちらも情熱を注いで頑張っているつもりです。
また、私は研修講師でもあります。授業実践に関する研修をメインにしているので、自分が良い授業を実践できていなければ、研修参加者からは信用されません。常に緊張感を持って、担当授業に臨んでいます。おかげで学生からの授業評価はそれなりに良く、これまでエクセレント・ティーチャー賞や教育研究総長賞を受賞してきました。したがって、私が講師を務める研修においては、自身の実践例(良い点も課題点も)を交えながら参加者を支援することができているのかなと考えています。
趣味など
私は、コロナ禍以降に趣味が変わりました。それまではたいした趣味を持っていませんでしたが、今はランニング、野球観戦、カメラに観葉植物の世話などです。ランニングは、2024年に初めてマラソン大会に出られるまでになりました。中高と陸上部だったものの、中距離以上走るのは嫌いで苦手だったので、あの頃の自分ならマラソン大会に出るなんて信じられないと思います。50歳辺りからは、ウルトラマラソン(100km以上)にも挑戦したいと考えています。日々のトレーニング記録や、野球観戦記録、考えていることなどをこちらの個人サイトで公開しています。
なお、コロナ禍で趣味が変わった理由としては、時間ができたからです。とにかく忙しかった日々が一度止まったことで、時間の価値観が変わりました。新型コロナショックは、私の人生において良い転換点になりましたね。そこまでの大きなインパクトだったので、他の人はどうなんだろうと思っています。
この先の10年
「大学教育を少しでもよくしたい」それが私の働く理由です。教育は組織で行うものなので、個々人の授業改善だけでなく、カリキュラムや制度なども改善していく必要があります。また、学習者たる学生にもアプローチしていかなければなりません。したがって、やらなければいけないことは非常に多いのです。日本の大学だと、高等教育研修センターのような組織は少人数で運営しているところが圧倒的に多いのですが、それだと真の教育改善は難しいと思います。この先の10年は、本学の高等教育研修センターをさらに大きくし、後進を育てることにも尽力していきたいところです。
