- 日 時
- 2023年11月05日 (日) 10時00分~12時00分
- 開催場所
- 北海道大学学生交流ステーション1階111教室
- 開催方法
- 対面
- 講 師
弘田 陽介 氏(大阪公立大学 教授)
- 使用言語
- 日本語
- ポスター
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主催:北海道大学高等教育推進機構国際教育研究部
共催:北海道大学大学院教育推進機構高等教育研修センター
終了しました
弘田 陽介 氏(大阪公立大学 教授)
主催:北海道大学高等教育推進機構国際教育研究部
共催:北海道大学大学院教育推進機構高等教育研修センター
近年の国際化の中で、それぞれの固有の文化を尊重する動向が強まっています。食事や諸儀礼など、文化圏において異なった作法を理解して、それぞれが共存することへの理解が高まっています。ただし、このような動向において、日本の国内では、私たちの生活から見失われようとするものがあります。今日では一部の人たちにしか共有されていないのに伝統的に適用されてきたような慣習や作法は、多くの人たちにとって理解しがたい不合理なものであるとして排除されようとしています。
ここでは、合理的な説明がないけども、慣習的に共有されている、いやされてきたものを文化と呼びたいと思います。文化は、土着の生活様式から生み出され引き継がれてきたものもあれば、近代国家によって設定されたものもあります。ただし、それらは今日では形式や作法としてあるだけで、その意味合いがわからないものも多くあります。
例えば、いわゆる日本的とされる間接的な人との関わりは、そのようなものの代表と言えるでしょう。かつての日本の伝統的な作法では、目と目を直接合わせることを避ける、直接的な物言いを嫌がり、暗示的な伝達を行うということが知られています。このような作法は、今日では、それらになじんだある一定以上の年齢層となじまない若者という世代間の断絶の一因となるものでしょう。
このような今日的な状況を踏まえて、伝統的に習慣、作法や芸能の中にある間接性を重んじる文化的事象を具体的に、つまり身体を通して体験することによって、その中にある「意味」、それはうまく言葉にならないかもしれませんが、ある種の感覚を共有したいと思います。
もちろん、ここで私は日本的なものの意義を他国と日本を差異化するために打ち出すナショナリズムの議論に乗るつもりはありません。しかし、国際化の進展に伴う多様性を本当に尊重したいのであれば、特異な日本の伝統的な文化的事象の中に潜んでいる体験をも、その多様なものの中に置くべきでしょう。簡単な身体や言葉を使ったワークを通して、参加者のみなさんと考えることができればと思います。
みなさまのご参加をお待ちしております。
大阪市出身。専門は18世紀後半のドイツ教育思想、実践的身体教育論、子どもと保育のメディア論(アートや鉄道趣味など)です。近代的な思想や事象の破れ目を通して、私たちの中にある近代ならざるものを探っていく試みをおこなっています。著書として、『近代の擬態/擬態の近代 カントというテクスト・身体・人間』(東京大学出版会2007)、『子どもはなぜでんしゃが好きなのか』(冬弓舎、2011)など。近著に『いま、子育てどうする?』(彩流社2021)
弘田先生からのメッセージ
「ワークショップ」的な活動といっても、みんなで一緒にということではありません。ご自身で簡単にできるものもありますし、複数人で行うものでも、参加の仕方はそれぞれでOKです。また、ここでの話は、日本文化のよさや日本らしさを一方的に突きつけるものではありません。そのようなものは20世紀の前半から日本のナショナリズムの進展の中で作り出されたものです。そうではなく、ここでは私たちの身体感覚という、学問・科学からは見落とされがちな主観的=身体的な事柄を確認してみることで、そのような文化のもっている意味合いをできる限り共有してみるということがここでの趣旨になります。
下記申込フォームから事前申し込みをお願いします。
※申込期限:11月2日(木)まで
※会場への地図は、国際教育研究部ホームページでご確認ください。
https://isc.high.hokudai.ac.jp
北海道大学高等教育推進機構 青木麻衣子
電子メールアドレス: maoki[at]oia.hokudai.ac.jp
※メール送信の際はアドレスの[at]を@に置き換えてください。
お申込みの受付は終了いたしました。11/2