北海道FDSDフォーラム2024
- 日 時
- 2024年09月06日 (金) - 2024年09月07日 (土)
- 開催場所
- 北海道大学高等教育推進機構
(札幌市北区北17条西8丁目)
- 開催方法
- 対面 ※シンポジウムのみウェビナー同時配信
- 対 象
- 内容にご関心のある方は、どなたでもご参加いただけます。
- 申込受付
期間
8月30日(金)まで
参加申込み延長
・オンライン(シンポジウムのみ) 9/2(月)まで
・対面参加 9/5(木)まで
- 参加費
- 北海道FD・SD協議会加盟校所属の方は無料、それ以外の方は3,000円
※情報交換会は参加費3,000円
- 補足事項
- ※札幌市内の宿泊施設は、予約が取りにくい状況が続いています。遠方から参加される方は、早めの確保を推奨します。
- ポスター
- ポスターを見る
主催:北海道FD・SD協議会、北海道大学大学院教育推進機構高等教育研修センター
北海道 FD・SD 協議会では、毎年 9 月の第一金曜日から二日間の日程で北海道 FDSD フォーラムを開催し、私たちが直面するさまざまな課題について、全国の高等教育機関の皆さまと議論や情報交換を行う学びの機会としています。今年度のフォーラムは、北海道大学を会場に対面開催となります。シンポジウム、個人発表そして分科会といったプログラムで構成しており、シンポジウムのみウェビナー同時配信を行います。
シンポジウムのテーマは「高等教育の展望」です。コロナ禍以降の高等教育機関を取り巻く環境は、遠隔授業(ICT の活用)や DX の本格化、そして生成 AI の登場により、急激な変化にさらされています。こうした急激な変化は、広く社会を巻き込むものである点が大きな特徴です。私たちは学生を教育し、社会へと送り出しています。そして彼ら学生がこれからの社会を創っていくのです。学生を送り出す私たちも、これらの課題に迅速に対応しなければなりません。シンポジウムでは、このテーマについて企業がどう考えているのかを知るため、日本マイクロソフトから講演者を招きます。加えて、大学側からもご講演いただき、最後に参加者の皆さまを交えて議論します。
また、分科会は教員のみならず事務職員にもご参加いただけるよう多様なテーマを用意しました。大学等を支える教職員が共に学ぶ 2 日間、今年度も多数のご参加をお待ちしています。
個人発表の募集を締め切りました。ご応募ありがとうございました。
企業ブースへの出展を受け付けています。本フォーラムでは、FD・SDに関する企業からの出展ブースを設けています。
ブース出展に関するお問い合わせは
こちら のページからお願いします。
<プログラム>
※シンポジウムの講演概要、各分科会概要は追って詳細をお知らせします。
9月6日(金)
11:50 受付
12:20 開催校挨拶 山本 文彦 氏(北海道大学 理事・副学長)
第一部
12:25~15:00 シンポジウム 「高等教育の展望」
12:25 趣旨説明
12:30 基調講演
※▶をクリックすると詳細が表示されます
「未来の教室を創る:生成AIで変わる学びの世界」
中田 寿穂 氏(日本マイクロソフト株式会社)
- 教育における生成AIの利用には賛否両論があります。多くの議論が交わされている中で、学習者に不正をさせないためにはどうすればよいのか、生成AIを使えば簡単に解けてしまうような課題は無意味なので、課題の出し方も考えなければならないといった議論が多く見受けられます。
本講演のタイトルは「未来の教室を創る ~生成AIで変わる学びの世界~」です。このタイトルには、生成AIの活用によって教育の質を根本的に変えることができるのではないかという思いが込められています。2022年に日本経済団体連合会が公表した「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果」では、企業が求める人材像として「主体性」「チームワーク」「課題解決能力」「論理的思考」が挙げられており、そのためには課題解決型の教育プログラムの充実や、企業や行政と連携した実践的な教育プログラムの推進が求められています。一方で、スイスのビジネススクールIMDが毎年発表しているWorld Talent Rankingでは、日本は64カ国中43位と非常に低く、大学教育に至っては56位という厳しい評価を受けています。
では、企業が求める人材を育てるにはどうすればよいのでしょうか。私は、生成AIがこの課題解決をサポートできる能力を持っていると考えています。本日の講演では、生成AIによるデモを交えながら、その可能性についてご紹介したいと思います。
「北海道大学における新たな人材育成事業」
山本 文彦 氏(北海道大学 理事・副学長)
- 北海道大学は、2026年に創基150周年を迎えます。その記念事業の一つとして、『「イノベーション・フロントランナー」の育成』という人材育成事業に取り組むことを予定しています。北海道のフィールドを活用し、自身の専門知識と社会の課題を結びつける共創教育、新渡戸カレッジを中心としたグローバル教育、そして早い時期からのアントレプレナーシップ教育などを通じて、学生の探求意欲や進学意欲を一層引き出すために、学部・大学院一貫の人材育成事業を構築します。その概要を紹介したいと思います。
「少子化の進行と北海道医療大学の取り組み」
三国 久美 氏(北海道医療大学 学長)
- わが国では少子化の進行に歯止めがかからず、2023年の北海道の合計特殊出生率は最下位の東京都に次ぐ低さであった。今後、18歳人口が減少する中、私立大学を取り巻く環境は厳しさを増している。
本学では、2028年度に北広島市にキャンパス新設を計画している。現在、移転による教育への影響を最小限にするためにワーキンググループを組成し、準備を進めている。また、それと並行して教育の質向上に向けた取り組みを検討している。これらの取り組みを紹介したい。
「ナイチンゲールとAI:これからはリベラルアーツの時代」
中島 秀之 氏(札幌市立大学 学長)
- 2022年11月にChatGPTが公開されて以来、生成AIの進化が止まらない。カーツワイルが予言した、技術のエクスポネンシャルな発展が実現され始めている。このような世界における高等教育は、知識の伝達より、その知識体系を作り出す仕組みの伝達が重要と考える。同時に、AIという進化し続ける強力な道具を使いこなす技術も必要である。リベラルアーツである。
ナイチンゲールは単なる看護師ではなく、新しい看護体系を作り、それを統計を駆使して世に証明した、現代看護学の創始者である。彼女の著書の真髄は、看護師が自ら考え、学べるようにするリベラルアーツの強調にある。
ナイチンゲールを手本に、生成AIを使いこなす手法を考える。
14:15 全体討論
15:00 第一部終了 休憩
第二部
15:15~17:20 個人発表
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A会場
15:15-15:35
心理実践実習による省察的実践
西郷 達雄(北海道医療大学)
省察的実践のプロセスは、体験するまでに必要な準備段階と、体験活動の実施期間中の配慮、事後の省察と成長のための次の実践という、before during afterの3つの段階それぞれで必要なポイントがあると考えられる。そこで、学生を省察的実践家として育成するために、公認心理師養成における心理実践実習を体験した学生のレポートを上記の3点つのポイントに焦点をあてて分析することとした。
15:40-16:00
就労継続支援事業所を見学した作業療法学生の学修成果
村上 優衣(日本医療大学)
作業療法士は対象者の就労に関わる場面が増えてきており,対象者にとって適切な就労時間や場所,内容の調整,企業や職場への働きかけや調整,スタッフとの連携など,多様な知識や技術が必要とされる.しかしながら,学生たちのなかには,そもそも働くというイメージをもちにくい者もいるのが実状である.そこで,講義内の課題として,地域にどのような就労継続支援事業所があるのか調べ,一般の利用客として見学・利用することで,対象となる方々がどのように働かれているのかを学び,見学後にプレゼンテーションを実施した.その取り組みを紹介し,学修成果を報告する.
16:00-16:10 休憩
16:10-16:30
第三者視点による大学事務のデジタルツール導入と主体性涵養の試み
小林 重人(札幌市立大学)
本研究は,大学の事務局を対象に第三者が現場での調査と実践を通じて,業務改善のための主体性を涵養し,デジタルツール開発と運用を自らで行うことができる組織のあり方について明らかにするものである。職場観察やツール講習会を通じて,職員自身が気づくことの難しい業務の実態を明らかにし,ノーコードで業務改善のためのツールを作成できるマインドの形成に成功した。 しかし,継続的な実践のためには様々な立場の人たちが協働できる職場環境の構築が必要であることもわかった。
16:35-16:55
DXからはじまる大学職員の意識変革
沼田 耕並(滋賀大学)
滋賀大学DX・RPA推進チームは、業務DXの推進を目指して若手大学職員をメンバーとして発足したチームである。本チームのDXの取組の特徴は、「DよりもX」。単にデジタルの知識を増やす、RPAによる業務効率化を目指すといったものではなく、自主的な研修企画や大学業務全体への理解を図る取組みを通じ、職員の意識変革を目指す点にある。本発表では現在の取組や大学間横断、教職員横断の取組について紹介し、新たなFD・SD活動の実践の可能性について言及する。
17:00-17:20
ミドルマネジメントを担う職員を対象としたSD研修の試み
丸山 宏昌(札幌大谷大学)
大学のマネジメント力強化に向けて職員の能力向上が期待されており、大学運営の高度化に直面する課長等のミドルマネジメントを担う職員の役割は重要である。業務の高度化・複雑化に対応し経営機能強化を担える大学職員を職場の中でどのように育成するべきか。SD研修を担当する講師の一人の立場から、ミドルマネジメント研修を紹介し、ミドルマネジメント層の職員の育成のあり方について検討する。
B会場
15:15-15:35
アントレプレナーシップ教育プログラムを主とした高大連携活動の実践
椎名 希美(北海道大学)
高校生と大学生が共に学ぶ場を創出し、大学教員や大学院生の知見を高校生の学びに生かすアントレプレナーシップ(起業家精神/起業家精神)教育プログラムを実施した。プログラムの設計、実施、成果について共有し、参加者のマインドの変化や実践的スキルの向上などについてそれぞれの立場から分析を加える。高校生と大学生の協働の効果や持続可能なプログラムの構築方法を具体的事例を通じて考察し、次世代の高大連携の可能性を探る。
15:40-16:00
高度専門人材育成を見据えた専門学科高校生を対象としたアントレプレナーシップ教育活動
白石 瑛人(北海道大学)
これまで大学の知見を高校生の学びに生かすアントレプレナーシップ(起業家精神/企業家精神)教育プログラムを展開している。また、近年商業科や工業科をはじめとした専門学科高校生の大学進学率が上昇し、高度専門人材育成に向けた高大連携の必要性が高まっている。今回は商業科の高校生を対象に実施した、専門分野(会計学)にアントレプレナーシップや生成AIなどを掛け合わせた教育プログラムの事例を報告し、高大連携による高度専門人材育成の可能性を検討する。
16:00-16:10 休憩
16:10-16:30
誰も取り残さない授業運営
松澤 衛(北翔大学)
全ての授業を録画することにより、遅刻や欠席といった理由で授業に参加できなかった学生に対しても、授業の内容を確認する機会を提供します。それにより、学生は次の授業までに必要な内容を理解し、復習することが可能となり、授業の進行に遅れることなく学習を継続できるようになります。
さらに、授業にきちんと参加している学生に対しても、録画動画の提供を行います。この動画を復習教材として利用することで、学生はより深い理解を得ることができます。
つまり、授業の録画は、学生が学習内容を充分に理解し、学習を進める上で非常に重要なツールとなるのです。これにより、全ての学生が学習に取り組む機会を確保し、質の高い教育を実現することが可能となります。
16:35-16:55
小規模校におけるハイフレックス型開講を可能とする機材整備・運用とその効果 ―安価・省力管理と教育機会の保証の観点から―
今野 聖士(名寄市立大学)
コロナを契機として、欠席の概念が「自己管理不足」から「やむを得ないもの」へ変化した。また実習等で「公欠」とした場合においても、保証されるのは「出席」であり、欠席した回の「講義内容」は補填されないことが多い。このため毎回講義を収録し欠席者に対するオンデマンド開講を行ってきた。ただし無条件にオンデマンド受講を認めると学生の受講形態選択が学修効果より楽さを優先してしまう。これに対応するためのノウハウや、本学のような小規模校において安価・管理無しで導入できる機材の選定等を共有したい。
17:00-17:20
クラウド型学習環境による学びの拡張の意味:大人数授業での検索・編集・交流を通じて
山口 好和(北海道教育大学)
昨年は300人規模の科目でクラウド環境(Google Workspace)による教材配布、課題集約と学習成果の実際を報告した。今年度、ほぼ同じ環境下で、科目運営の合理化を目指して修正した点の報告を行う。それととともに、一見するとPC等の情報端末を効果的に利活用できているかに見える学修活動が、実際にはどの部分でつまづいており、どの部分で効率的な作業が実現したのか、それらが既設LMSやオンライン学習環境のもとで、どのように増幅、拡張していると理解できるのか考えたい。
C会場
15:15-15:35
キャリア系授業におけるノートテイキングの取り組みと課題
鹿島 千穂(実践女子大学)
実践女子大学におけるキャリア系授業(共通教育/必修)で実施したノートテイキングに関する取り組みを報告する。本授業は、社会の変化や女性の生き方への理解を深めるとともに、PBL型のグループワークを通して社会人基礎力を育成し、学生一人ひとりが社会に出る準備を主体的に考えるきっかけを作ることを目的としている。仕事をする上での基本的な能力である「他者の話を聞き、メモをとる=ノートテイキング」に着目。学生アンケートからみえてきた今後の課題も提示する。
15:40-16:00
Using the BEVI to Measure Student Changes at a Language Learning Space
Andrew Johnson(Future University Hakodate)
Connections Café, located at Future University Hakodate, serves as a voluntary language learning space where students can practice English conversation. While it is straightforward to monitor attendance data, unobtrusively assessing the facility’s impact on students presents challenges. This study examines findings from the Beliefs, Events, and Values Inventory (BEVI), administered to 221 first-year students. Although the data does not indicate causality, it shows meaningful differences between the nine students who regularly attended Connections Café and the overall cohort regarding how they viewed working with others and how they constructed and evaluated knowledge. Further research is required to elucidate the role Connections Café plays in these outcomes.
16:00-16:10 休憩
16:10-16:30
エンパシーを育むグループワーク
三浦 真琴(関西大学)
2008年の開設以来、関西大学教育開発支援センターはマクロ・ミドル・ミクロ各々のレベルでFD活動を展開している。その概要の他に、共通教養教育科目において報告者が新たに始めた取り組みについて報告する。前年度の本フォーラムで報告した「オンライン授業の後遺症 ~共感力の停滞~」の「共感力」を「エンパシー」と捉え直し、それを育むためにリデザインしたグループワークについて実践の成果と課題を報告する。
16:35-16:55
Enhancing Courses through Student Self-Reflection Feedback
マズル ミハウ(北海道大学)ホイットフィールド デール(北海道大学)
Reflective student feedback is essential for enhancing teaching effectiveness and student learning outcomes. This research analyzes self-reflection comments from graduate and undergraduate courses, highlighting their significant impact. Findings demonstrate how student reflections create a virtuous feedback loop, crucial for continuously improving teaching content. Practical recommendations are offered for effectively integrating this feedback mechanism, meeting the evolving needs of both educators and students. This approach not only ensures comprehension of course materials but also adapts teaching practices to better serve diverse student populations. By emphasizing the importance of student comments, this research underscores the transformative potential of reflective feedback in higher education.
17:00-17:20
北海道の冬の暮らしの改善 ―新渡戸カレッジ大学院プログラム履修生 による提案と北海道庁と札幌市との連携―
LOMAEVA MARINA(北海道大学) 中島 竜雄(北海道庁)
本稿は、2023年度秋・冬タームに北海道大学新渡戸カレッジ(NC)大学院プログラムの一環として多国籍・多分野の履修生チームが取り組んだプロジェクトの背景・立案過程・成果を紹介する。履修生は、学内、北海道庁、札幌市の専門家や実務者から助言を参考に、札幌市内の除雪・冬の暮らしの改善、氷雪観光の振興を、多様な視点から考察し解決策を提案した。プロジェクトワークの成果は、2024年1月30~31日に札幌で開催された世界冬の都市市長協会(WWCAM)の実務者会議記念イベントで発表された。
本稿は、このプロジェクトを分析し、北海道の冬に関連する問題に取り組むにあたって、専門知識とアプローチの根拠の多様化を目指す連携構築の展望について論じる。北海道地域の各ステークホルダーとの連携を発展させることで、NC履修生に計画管理、課題解決、課題発見について市町村・都道府県並びにグローバルな視点から学び、体験する場と機会をさらに増やせると期待できる。
D会場
15:15-15:35
正課外学生プロジェクト活動を支える教職員サポート体制の課題
長谷川 誠(公立千歳科学技術大学)
正課外学生プロジェクトチーム・理科工房は20年以上に渡って地域におけるアウトリーチ活動を積極的に展開しており、年間活動件数は70~80件に達する。正課外活動であることが学生教育に有効に機能し得ることはこれまでにも紹介してきたが、これだけの件数の活動に日常的に関与している教職員は、現状では教員1名のみである。学生対応や対外対応で窓口が一本化されるなどのメリットがある一方で、業務量や今後の活動の継続性の観点からは課題も多い。今回は、この事例を紹介することで、類似の活動を他校で効果的に展開するための検討・議論の機会としたい。
15:40-16:00
教員の知財マインドの醸成について
谷口 牧子(旭川工業高等専門学校)
コロナ禍において、オンラインやオンデマンド授業に関わるSARTRASUが発足し、本格的に始動した。理想としては、全ての教員が、産業財産権についてはもちろんのこと、著作権やその他の知的財産権について、知財マインドの基盤となる「他人の権利の尊重と自己の権利の保護」を意識しながら、授業を行う必要がある。教員の知財マインド醸成ついて、知財教育の現状に触れながら、日・中・韓との比較も含めて検討する。
16:00-16:10 休憩
16:10-16:30
大学生への性の情報啓発セット配布後のアンケートから―これからの高等教育での性・ジェンダー教育について―
太田 とも美(北海道大学) 宮坂 舞花(SoilU(ソイル)代表)
今年4月に北海道旭川市内の各大学新入生に向けて配布した性の情報啓発セットの概要と、その後の性・ジェンダー教育についてのアンケート調査結果を報告する。また、アンケートではこれまでの性に関する被教育経験及び大学生自身が在学中に学びたい性に関するトピックを集計した。それらを基にこれからの高等教育機関では、どのような性の学びが求められているのかを検討する。
16:35-16:55
Covid-19が風化する前に感染症教育・啓発の追い風とする試みー野生動物医学の立場からの提案
浅川 満彦(酪農学園大学)
3年近く全世界の人々を苦しめた新型コロナウイルス感染症であったが、このウイルスはもともと野生動物体内でひっそり暮らしていたが、こういった未知のウイルスはまだまだ存在し、演者らと関わる世界中の獣医師らも調査・研究をしている。そこで不可欠な視点はヒトと動物、そして病原体とが同じ目線に立つワンヘルス(一つの健康)である。実はこの視点はSDGsにつながる一般性を有するものである。災い転じて福をなすのたとえのよに、今般のコロナ禍はワンヘルス教育の機会と捉えた事例の紹介をしたい。
9月7日(土)
9:30 受付
※▶をクリックすると詳細が表示されます
10:00 分科会Ⅰ
A「失敗から学ぶ教育改善」 話題提供校:旭川医科大学、札幌大谷大学、函館大学、北翔大学・北翔大学短期大学部
教育事例の報告はどうしても華々しい成功事例が目立ちますが、成功の裏には機材不調、個人の負担、想定外の反応など大小様々な失敗があることでしょう。この分科会では多くの教育上の失敗事例を共有し慰め合い、ついでに原因や対処法などを議論することで、同様の失敗を未然に防げるようにしましょう。
話題提供校:旭川医科大学
発表者:井上 裕靖
テーマ:学生へのインセンティブをどう利用すればいいのか?
概要:旭川医科大学医学部医学科では医学科5年生の終わりに学力試験を行なっていた。内容は医師国家試験過去問を使い、試験結果は臨床実習の成績の一部に利用されていた。また6年生の臨床実習希望調査で、希望者多数の場合は試験結果が良かったものを優先した。しかし一部の学生・教員はこれに不満を持っており、カリキュラム改正で臨床実習の成績の一部として使わなくなったことを契機に、6年生の臨床実習希望調査に使わないこととなった。内容も外部試験を利用するようになったが、変更した途端に受験率は極端に低下した。加えて医師国家試験の現役合格率も低下し始めた。今回はインセンティブの与え方について忌憚のないご意見を伺えれば幸いです。
話題提供校:札幌大谷大学
発表者:西脇 裕之
テーマ:授業についての学生からのフィードバックをいかに引き出すか
概要:本学では①学期末の授業アンケート、②学期半ばに授業時間内に回答してもらう中間アンケートを実施している。また、発表者は講義では各回の最後に、③課題とともに質問・感想などを書いてもらっている。①~③の回答率、自由記述回答の量・質について比較した結果、授業者にとって有用なリアクションを得るためには、回答期間の制約と回答時間の確保が必要であることが伺えた。課題はLMSで後日提出、振り返り&質問カードを授業内で記入・回収と分けた場合が、次回に活かせるリアクションが最も多かったからである。
話題提供校:函館大学
発表者:寺田 隆至
テーマ:地域課題をテーマとしたアクティブ・ラーニングの実践例と失敗
概要:学生が、身近な地域に何らかの課題を見いだし、その課題解決を目的に研究活動を行うことは、課題が自分たちで発見したものであることから、学生の主体性を引き出す上での一つのポイントになると思われる。他方で、そうした学生たちが見いだした課題は、指導教員の専門分野にはとどまらないものであったり、複数の専門分野にまたがる応用的な課題であったりすることがあり、したがってまた、指導教員にとって研究の成否が見通せないものであることも多い。本報告では、以下のテーマによるアクティブ・ラーニングの実践例における失敗について話題を提供したい。「なぜ、函館には中華街がないのか?」、「函館の運転マナーの現状と改善策」、「津軽弁は、なぜ、函館で通じたり、通じなかったりするのか?」。
話題提供校:北翔大学・北翔大学短期大学部
発表者:松澤 衛
テーマ:学生向けサービス開発の挑戦:試行錯誤を通じた品質向上
概要:提供する学生向けのサービスが、十分なテストを行う時間が確保できていない状況があります。サービス提供の急務と、限られたリソースを最大限に活用するという課題の両方が重なり合っています。その結果、想定と異なる結果になることがあり、その度に、試行錯誤を繰り返しています。
この進行方法は一見非効率的に見えるかもしれませんが、それぞれの試行錯誤を通じてサービスの質を向上させるための新たな発見や改善点を見つけるチャンスでもあります。これらの発見は、時間を見つけてテストを行い、問題を解決するための重要な手掛かりとなります。
今回は、そんな試行錯誤についてお話をします。
B「多様な学生に対するこれからの支援体制」 話題提供校:札幌大学、藤女子大学、室蘭工業大学
大学全入時代の到来で、多様な学生が増加しているように思われます。身体・精神(心理)・発達等に障がいがある学生やメンタル面に不安がある学生、LGBT学生など、多様な支援を必要とするだけでなく、支援の深刻さも増しています。大学による支援とは、どのようにあるべきでしょうか。
学生一人ひとりが大学生活において個性と能力を十分に発揮するには、教職員が個々の学生の状態や特性に応じ対応する等の安心して就学できる環境整備が求められます。しかし、それは可能なのでしょうか?それぞれの大学の事例や課題、そして支援の実践等をご報告いただき、多様化する学生への支援体制について意見交換しましょう。
話題提供校:札幌大学
発表者:森影 恭代
テーマ:学生相談室から見えるもの
概要:障害や病気による「困った」はもちろんですが、「何となく入学」「目的なく入学」など、そもそものモチベーションの低さなど、大学生活がうまくいかない理由は実に様々です。学生総合支援センターSUPOT(学生相談室)では、学生の「困った」に寄り添い、大学生活がうまくいくようにサポートをしています。合理的配慮の申請をサポートした事例だけではなく、学生自身が学びの主体者として自分自身を立て直していった事例などをご紹介します。
話題提供校:藤女子大学
発表者:工藤 雅之、瀬崎 慎二
テーマ:多様な学生へのこれからの支援体制とは
概要:本学で経験した実際のケースを中心に、今までの高等教育機関の支援体制では不適切であった事例や、学生に対し必要なケアを十分に施すことができなかった事例を共有する。その上で、これらのケースについて、より一層柔軟な支援が求められていること、そして、学生支援の専門部署の必要性について議論する。
話題提供校:室蘭工業大学
発表者:花島 直彦
テーマ:室蘭工業大学における理系基礎科目の補習教育
概要:入学者選抜方法の多様化や、学科の大間口化、学習指導要領の変更などに伴って、さまざまな履修歴を持つ学生が入学するようになっている。履修歴の多様化により、大学教育の入口でつまずく学生が目立つようになり、彼らをサポートする体制の一つとして、補習教育が注目されている。室蘭工業大学でも、物理学の補習教育を2023年度から始めている。今回は、この1年間の取り組みの状況を報告し、他の教育機関とも情報交換をしたい。
11:30 分科会Ⅰ終了 昼休憩
12:30 分科会Ⅱ
C「コロナ禍を経た遠隔授業の現在とこれから」 話題提供校:旭川医科大学、小樽商科大学、天使大学、北海学園大学
コロナ禍において、リアルタイム配信授業やオンデマンド授業といった遠隔授業が各大学で全面的に行われてきました。原則対面授業となった現在においても、こうした遠隔授業を継続している大学もあると思います。
コロナ禍で培った遠隔授業のノウハウは、現在、どのように授業に役立っているでしょうか。また、これまでに作成されたコンテンツやオンラインツールの管理、コンテンツの作成支援は現在、どのように行われているでしょうか。コロナ禍を経た現在の各大学の遠隔授業の実施状況について意見交換しながら、今後の展望について議論しましょう。
話題提供校:旭川医科大学
発表者:井上 裕靖
テーマ:旭川医科大学の遠隔授業の現況
概要:新型コロナウイルス感染症はインフルエンザとほぼ同等の扱いとなった。旭川医科大学では原則登校しての対面授業となり、遠隔授業は実質的に非推奨となっている。しかし実習先であった高齢者介護施設などでは、いまだにクラスターの発生がしばしば起こり、利用者が重症化することがある。このため代替えとして作り上げた遠隔授業を、今も継続している。こうした本学の現状と、今後のオンライン授業のあり方について報告する。
話題提供校:小樽商科大学
発表者:西出 崇
テーマ:オンデマンド型授業改善のための視聴ログ分析
概要:動画をオンデマンドで配信する授業では、授業進行の「時間」に関する主導権が学生側にある。すなわち、動画の視聴タイミングや再生速度、巻戻しや反復視聴、スキップ等の操作を受講者自身が行う。そのため、主に教員が時間を管理する対面型の授業とは異なる学習のパターンとなる。小樽商科大学では学生の動画視聴に関する行動の記録を詳細に収集する基盤を構築し、その視聴ログを可視化・分析することで動画教材や授業の改善に役立てる取組を紹介する。
話題提供校:天使大学
発表者:芦名 葵、吉川 香織、木村 禎
テーマ:コロナ禍を経た成人看護学臨地実習前の周手術期看護、集中治療看護技術演習におけるICTの活用の効果と課題
概要:看護基礎教育において演習など実践的学習は必要不可欠であるが、コロナ禍で密を避けながらも実践的学習が可能となるよう少人数グループ化、演習会場分散などの対応に迫られた。この経験からアフターコロナにあってもLMSを活用し、動画配信による演習課題動画の繰り返し視聴、演習前準備として技術動画の繰り返し視聴が可能な学習環境を整えた。そこで、反復学習が可能となったことでのメリットと今後の課題が明らかとなったため報告する。
話題提供校:北海学園大学
発表者:庄司 樹古
テーマ:オンデマンド形式による授業の変遷と可能性
概要:北海学園大学経営学部において開講されている簿記Ⅰ・Ⅱに関するコロナ前・コロナ禍・アフターコロナにわたるオンデマンド形式による授業形態の変遷および問題点とアフターコロナにおけるオンデマンド形式による教化主義に基づく授業(簿記Ⅰ・Ⅱ)と対面&オンデマンドのハイブリッド形式による構成主義に基づく授業(アカウンティングⅠ・Ⅱ)の実践について報告します。
D「多忙な教職員の働き方改革」 話題提供校:北海道大学、北海道科学大学
コロナ禍を経て、これまで以上に多様な学生への対応など、更なる学校教育の改善・充実が求められています。教職員の働き方改革が課題としてよく挙げられますが、教育研究の充実という名の下、私たちの業務量は増加の一途をたどっているのではないでしょうか。教員・職員双方の働き方改革に資する取り組み事例等をご発表いただき、参加者の皆さんと一緒に、私たちが取り組むべき働き方改革について議論しましょう。
話題提供校:北海道大学
発表者:佐久間 有希
テーマ:業務改善から考えた働き方
概要:本学のDX業務推進室では事務業務改善に関する取組みを行っている。その取組みの1つ「多様な働き方の構築プロジェクトチーム」では、昨年12月に「ハイブリッドワーク導入で目指す事務職員の将来像」について提言を出した。提言は大学の発展と職員のワーク・エンゲイジメントの向上が循環し続ける将来像を描いたものである。今回はなぜ「DX」で「業務改善」の取組みを行うのか、「働き方」の提言を行ったのかを中心に紹介する。
話題提供校:北海道科学大学
発表者:前川 晃
テーマ:働き方改革のためのDXを取り入れる前にやるべきこととは?
概要:本法人では、既存の業務を単にデジタルに置き換えても、あまり業務の効率化に繋がらないといった事例が多くあったため、働き方改革のためのDX導入を活かしきれていませんでした。そこで、一つひとつの業務の最終的な決裁者は誰か、必要な承認者の数、そもそも決裁・承認とは何かといった根本的なことから改めて問い直すことから始め、意思決定を速めるための権限移譲を進めているところです。これらの取り組みについて、ご紹介いたします。
14:00 分科会Ⅱ終了 休憩
14:15 分科会Ⅲ
E「高等教育の展望」 話題提供校:小樽商科大学、帯広大谷短期大学
シンポジウムのテーマについて、分科会として改めて取り上げます。ICTにDX、AIの発展など、私たちを取り巻く環境の急激な変化の下、今後の高等教育の展望はいかに。国の将来を支える人材を輩出する私たち高等教育機関の役割はどうなっていくのか、どうしていかなければならないのか。シンポジウムの議論もふり返りつつ、参加者の皆さんと一緒に改めて考え、議論しましょう。
話題提供校:小樽商科大学
発表者:小林 友彦
テーマ:生成AIを試験・成績評価に利用する際の注意点
概要:生成AIは、研究に広く利用されている一方で、教育における利用のあり方については悩ましい点も多いところです。対話形式で理解度を確認してもらうプログラムを作って学習支援するといった形もあるでしょうが、今回の話題提供では、成績評価に直結する試験問題やレポート課題の作成における生成AIとの関わり方について、成功体験や失敗談を提供します。
話題提供校:帯広大谷短期大学
発表者:滝澤 真毅
テーマ:「高等教育」の裾野の果てで思う
概要:短期大学においては、「高等教育」に十分な親和性を持たない学生が多数を占める現状がある。また、教員を公募してもほとんど応募がないなど、教育体制の維持にも大きな困難がある。「高等教育」の裾野の果てに位置し、飽和的ユニヴァーサル化状況における急激な少子化の影響の最前線となっている短期大学から見る「高等教育」の風景には、「高等教育」の「高等」たる所以の揺らぎと、「高等教育」が拠って立つ基盤に生じている地殻変動が見えるように思える。
16:00 閉会
※フォーラム情報は随時更新します。最終更新日:9/11
※記録用のため写真撮影を行います。ホームページや報告書等で使用する場合がありますので、ご承知おきください。
当日の様子